【治療初心者向け】長下肢装具をカットダウンするタイミングは?ポイントや考え方。

治療家の方がよく悩まれる

「長下肢装具のカットダウンはいつすれば良いのか」

調べても具体的な基準が書いてある文献もなく

非常に悩まれるポイントかと思います。

私が10年間、臨床を経験した中でお伝えできることを伝えたいと思います。

✔︎この記事がおすすめの方

・長下肢装具のカットダウンのタイミングがわからない方

・長下肢装具の知識を深めたい方

・「歩行を獲得させたい」気持ちが強い方

この記事を読んで

長下肢装具に対しての考え方の幅が広がればと思います。

先に結論から伝えると

私が考える長下肢装具のカットダウンのタイミングは

転倒するほどの膝折れをしなくなり

大腿四頭筋を活動させたいタイミング」です。

あくまで私が考えるタイミングですので

この記事を読んで自分の基準を見つける一助となれば良いなと思います。

※長下肢装具は主に脳血管疾患への処方が多いと思うので、脳血管疾患に対しての長下肢装具として話をすすめていきます。

長下肢装具は何のために使う?

「ところでみなさんは長下肢装具は何のために使っていますか?」

この質問をされたときに

「この筋肉を働かせるため!」

と自信を持って答えられるでしょうか?

例えば

「歩けるようになるために」

「弛緩性麻痺で膝折れするから」

「体幹が崩れるから」

このように考えた方はもう少しです。

上記のためにどうするのか。

その一歩先まで考えてみる練習をしましょう。

「歩けるようになるために、まずは大殿筋を働かせる」

「弛緩性麻痺で膝折れするから、大腿四頭筋を活動させる」

「体幹が崩れるから、腹斜筋を働かせる」

などです。

その先まで考える癖をつけないと

ただ歩き続ける練習をするだけで

何を良くするために歩く練習をしているのかが曖昧になってしまいます。

その結果、カットダウンのタイミングは分からないし、何が改善したのかもわからないまま過ぎてしまいます。

あくまで長下肢装具とは

「必要な機能のサポート」

「失われた機能を取り戻すための手段」

それ以上でも以下でもありません。

必要な機能とは

では、それを踏まえた上で長下肢装具で取り戻す

「必要な機能」

とは何でしょうか?

おそらく歩行困難な方へ処方することが多いと思います。

歩行の前に立位保持が必要になります。

つまり

「立位・歩行に必要な機能」ですね。

では立位保持や歩行にはどのような機能・要素が必要になるのでしょうか?

長下肢装具のカットダウンを考える前に

立位や歩行の知識が必要になるので考えてみましょう。

まずは立位保持からです。

歩行にも立位保持に必要な機能の話は重要ですのでこのまま読んでみてください。

立位保持に必要な機能

立位保持に必要な機能それは・・・

「姿勢保持筋の活動」です。

姿勢保持筋といえば

腸腰筋や脊柱起立筋、大殿筋や大腿四頭筋などです。

この筋肉を働かせれば良いのですが

「どの筋肉を働かせるべきか」

ということを考えてみましょう。

装具をつけて立位練習をしていれば姿勢保持筋が働くわけではありません。

つまり何が言いたいかと言うと

「活動している・していない姿勢保持筋がどこなのかを評価する」

ということです。

さらに言うと姿勢を保持するためには遠心性収縮が必要ですので

遠心性収縮を評価しましょう。

評価ができたらその筋肉を遠心性収縮させることを考えていきます。

姿勢保持筋を活動させるには

ここからは姿勢保持の治療方法ポイントをいくつかお伝えします。

まず遠心性収縮の練習は

閉鎖運動連鎖(CKC:closed kinetic chain)で行うことです。

なぜなら姿勢保持はCKCでの遠心性収縮だからです。

開放運動連鎖(OKC:open kinetic chain)で遠心性収縮の筋トレをしても、姿勢保持練習になると変化がない経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。

背臥位では上手に収縮できるのに、抗重力姿勢になると上手にできない・・・

当たり前ですが

姿勢を保持する練習をしましょうということです。

簡単にいうと不安定な姿勢をキープすることです。

先程評価した活動していない姿勢保持筋が遠心性収縮で姿勢を保持する姿勢へ誘導します。

姿勢保持はインナーマッスルのため不安定すぎないように注意してください。

不安定すぎるとアウターマッスルが働いてしまいます。

不安定でギリギリ姿勢保持できるかできないかの間で一緒に姿勢を保持するという感じです。

ギリギリの姿勢で自動他動運動でいいので一緒に不安定な姿勢を保持するのです。

そこで後は待つだけ。

もし難しければまたその活動しない難しい要因を考えてみましょう。

その繰り返しです。

歩行に必要な機能

姿勢保持ができてきると

自然と下肢の力が入りやすくなり

歩行練習も効率的にすすめることができます。

歩行には姿勢保持と同時に下肢を振り出すことが必要になるからです。

ですので次は

下肢を振り出すのだからOKCの練習。

となりそうですが、そうではありません。

下肢の振り出しは求心性収縮ですが、

反射による影響が大きいです。

よく述べられるのが腸腰筋の伸長反射。

この伸長反射を出すために

立脚期が大切になってきます。

そう股関節の伸展です。

ですが長下肢装具には欠点があります。

それは足関節の底屈が出ないこと。

足関節の底屈が出ないと歩行時の股関節が最大伸展しません。

そうなるとどうなるか

伸長反射が出にくく

下肢の振り出しが不十分となります。

なので装具を使用していても下肢の振り出しが出にくいままとなります。

足関節の底屈を出すには

足関節の治療は

底屈可動域を評価して可動域の拡大を図ること。

それとCKCで底屈の練習を行うこと。(しっかりつま先に体重が乗っていることを確認してつま先だちの練習など。)

ここを見落としている方が多い印象です。

カットダウンのタイミングは?

結局カットダウンのタイミングは?

と思ったかもしれませんが

ここまで読んでいただき気づいたかもしれません。

カットダウンしなくても歩けるようになります。

考えてみれば長下肢装具のまま歩ける人を経験したことはありませんか?

それが答えです。

ですから長下肢装具は歩くためではなく

失われた機能を取り戻すために使用するのです。

ですから、カットダウンの目的は筋肉を働かせるため。

そしてカットダウンして動くようになる主な関節は膝関節。

関節が動かないと筋肉は遠心性収縮で働きません。

よって膝関節が動くことで働く代表的な筋肉は

大腿四頭筋と言うわけです。

私がカットダウンする目的が大腿四頭筋を働かせるためということがご理解いただけたでしょうか。

おまけ

歩行時の筋電図を見たことはありますか?

歩行の振り出し時に働いている筋肉で大きな影響があるのは腸腰筋と大腿四頭筋といわれています。

では次に影響を与えている筋肉はどこだと思いますか?

それが長内転筋です。

長内転筋の作用として股関節屈曲のサポートと言われています。

振り出しのためにこの筋肉を働かせようとしている治療家の方は少数ない印象です。

どうやって長内転筋を働かせるかと言うと

横歩きなど遠心性収縮で働かせる練習が大切ということです。

長下肢装具の練習となると前歩きでの練習が多くなりがちです。

たまに後ろ歩きをしている方もいますが

横歩きを取り入れている方は少ないです。

横歩き練習も取り入れることをおすすめします。

やる前と後では振り出しの介助が楽になっていることを実感できるかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?

長下肢装具の治療の幅が少しでも広がったなら嬉しいです。

それ以外で悩んでいることなどあれば

気軽にトップページのお問い合わせから質問してください。

また治療したら良くなったなどの報告でも良いのでメッセージくれると私も励みになります。

連絡お待ちしてます。

最後までご覧いただき本当にありがとうございました。

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